府教委、「評価・育成システム」検証のためのアンケート実施

自主的判断にもとづく意思表示を呼びかけます
「4月本格実施」を許さないたたかいを強めよう

2004年 1月 28日
大阪府立障害児学校教職員組合執行委員会

 大阪府教育委員会は1月26日、府立学校長と市町村教育委員会宛てに「評価・育成システム」試行実施の「検証」のための通知を発出するとともに、すべての対象教職員用のアンケートとマークシート(回答用)を送付しました。
以下、これに対する府障教執行委員会の基本的な見解を示すとともに、職場・分会からの討議ととりくみの強化を呼びかけます。
* なお、府教委は、1月末には府立学校長と市町村教育委員会に対する実施状況調査およびアンケート調査を、2月上旬には府政モニターの府民500人にアンケート調査を、それぞれ実施するとしています(いずれも内容は未定)。

1、 府障教は、「評価・育成システム」に対してどうとりくんできたか
府障教は、「評価・育成システム」(以下、「システム」)が、"子どもたちの成長・発達に寄与する"という教育活動の目的をゆがめ、教育行政の意に沿う学校と教育をつくろうとするものであると指摘して、一貫して批判し「システム」そのものの撤回を求めてきました。さらに、こうした教育行政による教職員・学校支配を許さないためにも、それぞれの学校で"子ども参加、父母と教職員が共同ですすめる学校づくり"を推進することに力を入れてきました。

2、 本来の検証はどうあるべきか
「システム」の検証にあたっても、府障教は府教委に対して、
@ 関係する教職員全員から「システム」に関する声を集約すること、
A 「システム」の是非をふくむ全面的で、公正・客観的な内容のものとすること、
B 検証の目的は、「システム」の具体化に役立てることに一面化させるのではなく、撤廃や中止、抜本的な見直し、改善などをふくむ政策判断に用いるものであること、
――などの諸原則を明らかにし、要求しつづけてきました。

3、府教委アンケートの問題点とねらい
今回、府教委がアンケート実施をうちだしたことそのものは、一貫してまともな検証を求めてきた私たちのとりくみを反映したものですが、その内容には、次に述べるように重大な問題点があります。
第1は、アンケートが、とうてい客観・公正とはいえない要素を数多くふくんでいることです。たとえば、「システム」が、その目的に照らして「教職員の意欲・資質能力の向上、教育活動等の充実、学校の活性化」に役立っているかどうかについて、それを率直に問うのでなく、肯定的意見4つ、否定的意見1つ、その他のなかから、複数選択させようとしていることなどは、その典型です。 第2に、政策誘導的な質問内容が随所に見受けられることです。たとえば、「システム」の問題とは別に、「学校教育が組織的に進められているか、いないか」「教育活動が意欲的に行われているか、いないか」などの質問項目を設けていること、「評価」結果の活用・反映のあり方について、評価一般にまで拡大して、研修・人事・昇任・給与などへの活用・反映の是非を質問していること、などです。これらの質問項目は、アンケート結果をもとに、「システム」の4月本格実施に利用しようとの意図が感じられます。
第3に、障害児学校の実態をまったく無視したスケジュールをおしつけていることです。アンケート提出期限(2月10日)までに対象者全員の「開示面談」を終了できるとする学校は、ほとんどありません。「試行段階だから、全員○○だ」「育成という観点で面談したい」「自己申告をもとに評価する」などの校長発言は、「公正・客観的な評価」という点から、「システム」の根本的な矛盾を示すものです。障害児学校においては、対象教職員数が優に100人を超える学校が多数存在すること、集団指導体制のなかで教職員個々の教育活動等の把握が前提となることなどから、府障教は当初から、「システム」の公平性・客観性にとりわけ強い疑念があることを指摘してきました。府教委が、こうした指摘に何ら応えることなく、この時期に府教委の都合のみでアンケートを押しつけることは、言語道断です。
第4に、「システム」の実施主体である市町村教育委員会の権限と責任を無視して、府教委作成のアンケートを押しつけようとしていることです。
こうした問題点は、府教委アンケートが、本年4月から「システム」の本格実施に踏みだすことを前提にして、それに役立てるために「検証」をおこなおうとしていることの表れにほかなりません。

4、教職員の自主的判断にもとづく意思表示を
府教委アンケートは、こうした多くの問題点をもっているものの、
@ 府障教がかねてから要求してきた、すべての教職員を対象としたものであること、
A 「システムは役に立たない」という選択肢をふくむ、教職員の幅広い意思表示が可能であること、
――など、私たちのとりくみを部分的ながら反映した側面もあわせもつものです。
府障教執行委員会は、このアンケートについて、憲法・教育基本法にもとづく民主教育の前進に役立てるという観点から、教職員の意思を表明する場とする必要がある、と考えます。
こうした立場から、試験的実施、試行実施という、この2年間の事実と経過に照らして、一人ひとりの教職員が自主的判断にもとづいて意思表示をおこなうことを呼びかけます。

5、今後のたたかいの方向
 府障教は、府教委に対して引き続き客観・公正な検証を要求するとともに、このアンケート結果の全面的な公表とそれにもとづく意見交換を要求します。
また、職場のとりくみと結んで「システム」の障害児学校における問題点・実態をリアルに告発する「黒書づくり」をすすめます。それを生かした社会的たたかいにも全力をあげて、父母・関係者に発信するとりくみを積極的にすすめます。大教組が提起する全教職員を対象とした「システム 反対・撤回署名」にもとりくみます。
さらに、「システム」の4月本格実施を許さないたたかいを、大教組に結集していっそう強めます。
府障教は、組合員はもとより、すべての教職員が今後のたたかいでも奮闘するよう訴えます。